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スタッフが週替わりでお届けする「編集後記」。 今週はベトナム人スタッフのMaruchanがお送りする、「カンゾー ― 未開の海辺から『グリーンパラダイス』へ」のお話です。
<Vinhomes Green Paradiseの完成予想図>(※ソース:Vingroup)

先日、家族でホーチミン市の旧カンゾー郡に用事があり、そのついでに今年4月にビングループ[VIC](Vingroup)が着工した大規模埋め立て沿岸都市区プロジェクト「ビンホームズ・グリーン・パラダイス(Vinhomes Green Paradise)」の工事現場を訪れました。目の前に広がっていたのは、巨大な工事現場。ショベルカーやクレーン、ダンプカー、船が休むことなく稼働し、まるで「未来都市」が少しずつ形を現しているように見えました。
<プロジェクトの入り口の1つ>

この都市区プロジェクトの規模は驚くべきもので、旧カンゾー郡の郡都だった旧カンタイン町と旧ロンホア村にまたがり、総面積は2870ha (同市の旧9区にあるビンホームズ・グランド・パーク=Vinhomes Grand Parkの10倍以上に相当)、そのうち1357haは埋め立てによって造成されます。人工ビーチやリゾート、ゴルフ場、娯楽施設、低層住宅、マンション、学校、病院、商業施設などが整備され、さらに、完成すればベトナムで最も高い108階建ての超高層ビルがランドマークとしてそびえ立つ予定です。
<海辺に重機やコンクリート構造物、パイプが並ぶ工事現場>

<ショベルカーが埋立工事を進めている>

<埋め立てられた泥土に取り囲まれたパイプとブイ>

<海岸から沖へ広がる大規模な埋め立て工事、無数の船舶と堤防が並ぶ>(※この空撮写真は、某Youtuberが撮影した動画からMaruchanがスクリーンショットしたもの)

市中心部の聖母マリア教会から工事現場までの距離は約55km。遠いのは遠いですが、メトロがあれば、遠くない距離になり、インフラ整備次第で日常的に通える圏内です。実際、周辺では複数の交通インフラ計画が進んでいます。
<聖母マリア教会~Vinhomes Green Paradiseまでのルート>(※ソース:Google Maps)

カンゾーと市中心部を結ぶメトロ構想について、VICはプロジェクトを立案中です。出発点は旧7区グエンバンリン通り、終点はまさにこのVinhomes Green Paradise。設計速度は250km/h、2026年着工、2028年完成を目指します。このメトロが完成すれば、住民はカンゾーに暮らしながら都心へ通勤可能になります。これは、カンゾーが本当に活気ある都市へと成長できるかどうかを決定づける鍵だとMaruchanは思います。
同時に、カンゾー橋プロジェクトも準備中です。この橋は旧ニャーベー郡と旧カンゾー郡を結び、現在のビンカイン・フェリーに代わるものとなります。完成すれば、都心とのアクセスは格段に向上するでしょう。
さらに興味深いのは、カンゾーから旧バリア・ブンタウ省(今年7月にホーチミン市に吸収合併された省)のブンタウへ直接つなぐ海上大橋の構想です。もしこの海上大橋が完成すれば、旧ホーチミン市と旧バリア・ブンタウ省を直接つなぐ初めての陸路が誕生し、市中心部からブンタウまでの所要時間は大幅に短縮されます。
<Vinhomes Green Paradiseからブンタウへつなぐ海上大橋>(※ソース:ホーチミン市交通公共事業局)

同じ日に、Maruchan一家はタックスアット船着場(カンゾー)からカウダー船着場(ブンタウ)までフェリーで移動しました。水路約15km、移動時間は30分ほど。フェリー旅も楽しいものですが、運賃が高く(◇乗客:7万VND=390円、◇車両:二輪車5万VND=280円、乗用車35万VND=1940円)、待機時間も含めると所要時間はもっと長くなります。
<カンゾーからブンタウまでのフェリー>

都市開発に加え、カンゾー国際コンテナ積替港プロジェクトも計画されています。コンテナ港湾や物流サービスを展開する予定です。これが実現すれば、カンゾーは観光リゾート都市であると同時に、国際的な物流拠点としても機能するようになります。Vinhomes Green Paradiseやカンゾー国際コンテナ積替港などが稼働すれば、サービスや教育、医療から物流、観光まで、膨大な雇用が地元で生まれるはずです。それが人口定着につながり、活気あるコミュニティを形成するでしょう。
しかし、最も重要なのは、実際に人々が住むかどうかです。もし高級住宅ばかりで庶民が手の届かない価格帯になれば、ゴーストタウン化は避けられません。そのため、適正価格の住宅供給が欠かせないと思います。
総合的に見て、カンゾーの将来性は高いとMaruchanは考えています。海辺という立地に加え、ホーチミン市の一部であるという地理的な強みを持つこの地は、不動産投資先として有望であるだけでなく、巨大なマングローブ林があって同市で空気が特にきれいなため、老後をゆったりと過ごす理想的な場所になるでしょう。南部の経済・観光のホットスポットに変貌するであろうカンゾーの変貌を、これから楽しみに見守っていきたいと思います。
photo by Maruchan —————————— 今回は、ここまでです。 最後まで、お読みいただきましてありがとうございます。 今後とも、「ベ トナム株・経済情報」をよろしくお願いいたします。
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